プロジェクトの動き
家でも就活オンラインカレッジとは?
2020年より、エンカレッジの障害学生の就活・就職・求人サイト 家でも就活オンラインは、計1000名以上の障害のある学生の就職支援に取り組んできました。そのなかで見えてきたのは、就職活動への第一歩を踏み出すのが難しい学生が数多く存在する一方で、大学がそうした学生の支援に十分なリソースを割くことが難しいという現状でした。
卒業学生に占める障害学生の就職率は一般学生より25%ほど下回る
JASSO「令和3年度 障害のある学生の修学支援に関する実態調査」
文部科学省「令和3年度 学校基本調査(確定値)報道発表資料」より作成
学生側にとっては、「学業で手一杯で、働くことに繋がる経験が積めていない」「就活やインターンに進むことの不安が強い」「障害のある学生に特化した就活の進め方や、働く障害者のロールモデルがない」といった課題があります。
障害のある学生にとっては、そもそもアルバイトやインターンの選択肢が少なかったり、そうした課外活動に不安を感じられたりする方が多く、「働く」というリアルな体験を積めないまま就職活動期に差し掛かる当事者の方が多くいます。
また、一口に「障害のある学生」といっても、実際にその方が直面している「障害のある状況」は個人によって千差万別であり、「とりあえずみんなと同じように」活動することが、必ずしもその当事者の方にとって望ましい選択とは限りません。
しかしながら、自分に合ったロールモデルを探そうにも、働く障害のあるOBへの訪問も、選択肢は少ない状況です。
結果として、卒業学生に占める障害学生の就職率は、49.7%にとどまっています。
進路・就職指導は修学支援に比べ、十分に実施されていない
JASSO「令和3年度 障害のある学生の修学支援に関する実態調査」より作成
一方、支援を行う大学からみると、「修学支援で手一杯で、キャリア教育・就活支援にリソースが割けない」「1校当たりの対象学生数が少なく、サービスを充実させにくい」「キャリア支援に必要な情報が手に入りづらい」という背景があります。
「障害学生支援」の内容は、授業に関する支援やその他の大学生活全般に関する支援、学内での制度の調整など、多岐にわたるものです。そうした状況のなかで、キャリア教育や支援といった機能を更に障害学生支援の担当者が担うのは困難です。
また、1校あたりの障害学生の数は少ないため、学内のキャリアセンターにおいて、個別の学生に合わせた対応や、障害者雇用に特化した支援を充実させていくこともなかなか難しい状況があります。特に、学生のキャリア形成のための「体験」の機会の提供に課題を感じられている方と多く出会ってきました。
そこで、このような状況に対し、エンカレッジは、我々と同じく課題意識を持った企業と連携し、全国の障害のある学生のためのキャリア教育プラットフォーム「家でも就活オンライン カレッジ(略称:家カレ)」を2023年6月22日にリリースいたしました。
家カレでは、大学が横断的に連携し、企業が企画に協力することで、障害のある学生が安心して参加できる就労に繋がる体験をワンストップで提供します。
参加大学
岐阜大学
岐阜聖徳学園大学
京都大学
成蹊大学
立命館大学
桃山学院大学
横浜国立大学
大東文化大学
筑波技術大学
岡山県立大学
名古屋大学
電気通信大学
徳島大学
神戸大学
香川大学
奈良女子大学
日本大学
三重大学
関西国際大学
愛知県立大学
など50大学超
協賛・協力企業
※2023年度協賛企業
ソニーグループ株式会社、トヨタ自動車株式会社会社、パナソニックグループ、TOTO株式会社、株式会社堀場製作所
パートナー
株式会社マイナビパートナーズ
社会福祉法人すいせい
パブリックリソース財団内の「東京海上日動キャリアサービス 働く力応援基金」の支援を受けています。
WELCOME~こうした困りごとのある学生・大学の方へ~
大学
- 修学支援で手一杯で、就活支援までなかなか手が回らない…
- 自校だけで企画を開催しても学生が集まらない…
- 他の大学はどういう支援をしているんだろう?
企業
- 障害のある学生や大学は何を求めているんだろう?
- 障害者雇用って雇用率だけ追っていればいいのだろうか?
プログラム
「家カレ」では、社会に出ていくための準備セミナー、オンラインOB・OG訪問、企業人事担当者との座談会、実際に会社で行われている業務を体験できるオンラインインターンシップ、職業準備性を高めるための動画コンテンツなどを参加学生に無償で提供します。
また、大学支援関係者・本プロジェクトに関わる関係者同士で情報共有、意見交換を行う場をオンライン上で設けることで、ノウハウ共有の促進や、スキルアップ研修を実施していきます。
はたらくみらいキャンパス
presented by ソニーグループ
学生のみなさん一人ひとりが、これからどのようにキャリアを築いていくかや、自分らしさを生かしていきいきと働くことについて、先輩の談話やワークショップを交えながら考えていきます。
大学生の今から、「はたらく」ことをゆっくりと描きはじめてみませんか?
オンラインしごと体験
オンラインしごと体験は、実際に会社で行われているリアルな仕事を実際に体験することができるイベントです。
スタッフのガイド付きなので、安心して参加できます。自分に向いている仕事が知りたい方や、世の中のリアルな仕事を知りたい学生の方におすすめです。
自分×社会を考えてみよう
presented by トヨタ自動車
皆さんが興味を持っていたり、学校で学ぼうとしたりしている分野が、社会でどのように活かすことができそうか、少し考えてみる個人ワークです。
その気づきが学校生活にも活きるはず!文理不問。やってみようかなという意欲があればどなたでも参加いただけるコンテンツです。
企業人事との座談会
presented by パナソニック
企業の方と「面接ではない」場で、ラフにお話してみませんか?
仕事ってどういうことをしているんだろう、企業の人は何を考えているのだろう、自分の考えは社会人の方から見るとどう見えるのだろう…そんな疑問をお持ちの方、ぜひぜひ気軽にご参加ください。
いつでもどこでも
キャリアを考えるためのアーカイブ集
自己分析を手助けするワークシートや、就活準備のためのお役立ち動画、オンライン上でOB訪問ができるしごとインタビューなど、自分のペースで取り組めるオンラインツールを各種用意しています。
大学支援者向け勉強会
企業人事担当者の方とエンカレッジスタッフによる、大学支援者のキャリア支援スキルアップを目的とした勉強会を定期開催しています。
初年度報告会
障害学生の数は、令和4年度には49,672人と、ここ5年間で約1.5倍にまで増加しています。
さらに、障害学生の就職率は一般学生より10ポイント以上低く、支援の必要性が高まっています。
しかしながら、年々増加する障害学生にとってみると、卒業後社会に出て働くために必要な「社会移行支援」はまだまだ十分なものではありません。
障害学生支援の担当者に求められる業務量は多く、単独の大学で障害学生向けのキャリア形成支援を行う余裕がなかなか生まれづらい状況が続いています。数あるキャリア教育プログラムや就活支援のリソースも、障害学生にとって、アクセスしづらいものとなっているのが現状です。
こうした問題意識から2023年6月に開始した、全国初の障害学生のキャリア支援を行う大学横断型プラットフォーム「家でも就活オンライン カレッジ(以下家カレ)」。
1年目は45大学にご参画、6企業に協賛いただき、企画を実施して参りました。
本セミナーでは、家カレ1年目の活動報告に加え、企業、大学それぞれから見た家カレの価値や期待、更に家カレの今後の展望について報告いたします。
※初年度報告会は終了しました
参画大学・協賛/協力企業からのコメント
京都大学
障害のある学生のキャリア支援を考える際、就職活動そのものを支援するだけでなく、大学から社会へ移行していくプロセス全体について考える必要があります。一方で、大学や地域によって、そのようなプログラムの実施状況に温度差があるのも事実です。さらに、一大学だけの取り組みでは、十分な選択肢やロールモデルを確保することが難しい場合もあります。このようなプラットフォームの構築も含めて、様々なネットワークが構築されることで、学生にとっての選択肢が拡がることを期待しています。(村田 淳)
岐阜聖徳学園大学
大学横断PFは、障がいや疾患のある学生に対する修学支援や就労支援を進めるにあたり、大学間の情報交流ができるだけでなく、行き詰まっている課題に対して、新たな視点や可能性を見出すことにつながっています。一緒に伸びゆく大学横断連携に大いに期待しています。(学生支援センター長 安田和夫)
横浜国立大学
大学での生活は,長い人生の一部に過ぎません。ただその一方で,これから社会に出ていくうえで,自分自身を理解し,そして進路を決断する重要な時期でもあります。しかし様々な特徴を抱える学生さんへの日々の支援では,どうしても今,ここでの支援に注力することが多く,大学卒業後の進路について,共に考える時間は限られている現状があります。そのような中で,企業,大学,支援機関が連携を持つ,このプロジェクトに大きな期待を寄せています。
名古屋大学
障がいを持つ学生が社会で活躍するためには、まだまだ多くの壁が存在していることを実感しています。残る壁はいまだ数多く、また頑丈であり、簡単に取り除けるものではありません。このような状況にあって、まず我々関係者にできることは、属性の違う関係者同士が連携し、諦めることなく知恵を集め考え続けること。この動きを続けることが、壁を取り除くために役立つと信じ、プロジェクトに参加させていただきます。関係者の皆様と共に考え行動させていただける機会を大切にしたいと考えます。(竹本)
電気通信大学 障害学生支援室
本学においては、障害を持つ学生の就職支援については手探りの状況が続いています。授業の単位取得と、就職活動を並行させることは、誰にとっても大変なことですが、障害を持つ学生が自分の症状などをコントロールしながら、障害者枠の就職活動の情報を得て活動をすることはとても苦労しています。我々、学内の支援者もサポートの方法や支援先などの情報を十分に得ているとは言い難い状況です。このプロジェクトに参加させていただくことで、他大学の支援者の皆さまとも連携させていただきながら、障害を持つ学生の就職支援のネットワークを構築することができればと思います。(阿部 朋典)
ソニーグループ株式会社
ソニーには、誰もが自分自身で未来を切り開くため、適切な配慮と皆さん自身の努力で、夢や目標に向かってチャレンジし成長できる機会や場があります。今大学生である、ほかの誰とも違う「あなた」が、これからどのようにキャリアを築いていくかや、自分らしさを生かしていきいきと働くことについて、いっしょに整理していきましょう!エンカレッジさんを中心とする、大学や企業の大きな応援の輪の1つとして、ソニーも「はたらくみらいキャンパス」などの場を提供し、あなたのキャリアを応援します。(ソニーピープルソリューションズ株式会社 DE&I推進室長 森 慎吾)
株式会社マイナビパートナーズ
弊社には従業員の約8割を占める、163名の障がい者が働いています。彼らが自分らしく働ける環境を作り出すことで、誰もが活躍できる道を切り拓きたい。その思いで日々を過ごしています。また自社だけでなく、より障害者雇用を広めていくために障がい者専門の新卒紹介・人材紹介を通じて新たな雇用創出にも挑戦しています。
障がいのある学生が自分らしく働ける就職先を見つけるにはさまざまな障壁があり、決して簡単ではありません。「障がい者自身」、「就職支援をする大学」、「採用する企業」が、働くことと障がいの関係についてまだまだ「知らない」のです。そんな三者の「知らない」を解消する取り組みとして、私たちは「家でも就活オンライン カレッジ」を応援します。
(株式会社マイナビパートナーズ 代表取締役社長 藤本 雄)
TOTO株式会社
最近、学生の皆さんが家族や学校以外の「社会人」と触れ合う機会がかなり減ってきているのを感じます。それでも器用に立ち回れる人はいいのですが、そうでない人は社会への接続のステップでどうしてもつまづいてしまいます。もちろん、受け入れる社会の側もそういった人々を包摂できるように変化していかなければなりませんが、個人の側でも対応できる能力を身につけていくことは、今後社会に出て自らの能力を発揮していく上で、大変重要であると考えます。学生の皆さんに社会を知り経験する場を提供することで、自己理解と社会理解を深める契機にしていただきたいと考えます。
教育機関には次世代を担い、今後の社会を形成する人財を育てていく任務があります。同時に、我々企業側にも共通の責務があると考えます。大学と企業が連携し、それぞれの強みを生かした活動を通じ、次世代へのバトンタッチをともに果たしていきたいと念じております。(藤田浩史)
パナソニックグループ
変化の激しい時代、学生が適切なタイミングで将来について考え、自律的なキャリア形成の土台を築くためには、「働く」ということについて正しい情報を得ることが不可欠です。
そのような機会が限られる学生に対して、大学と企業が連携して応援のネットワークを構築する今回の取り組みに、大きな可能性を感じています。私たちも、学生が企業との関わりの中で自らの可能性を広げるきっかけを、一つでも多く提供できればと考えています。
障がいのある学生一人ひとりが、社会に出るにあたって納得のいく選択を行い、充実したキャリア人生のスタートを切ることができる環境づくりに向けて、皆さまと一緒に取り組ませていただきたいと思います。(リクルート&キャリアクリエイトセンター 多様性採用推進課 金子 健志)
Q&A
学生の方向け
家カレのイベントやコンテンツに参加費はかかりますか?
学生の方はすべてのイベント、コンテンツを無償で参加、利用することができます。
大学/企業の方向け
家カレの参画/協賛について興味があるのですがどうしたらよいですか?
参画を検討される大学の方には一度直接ご説明の機会をいただけますと幸いです。下記お問い合わせフォームよりお問い合わせください。