当事者が伝える障害のある人の適職!あなたに合う仕事はどれ?

 
身体障害や精神障害がある人が悩むことは様々ありますが、最も大きな問題の1つが『仕事をどうするか』でしょう。
様々な仕事がある中でどのような職種を選ぶか、自分に合う職業は何かを見極めることはとても難しいはずです。
働き方や価値観が多様化しているこの時代、障害が無い人でさえ適職を選ぶのはとても難しく大きな悩みの種。何か1つの固定概念や強い意見に囚われるのではなく、自分に合う職業を自分で決めて選ぶことが大切です。その選択肢を解説していきます。
 

障害者雇用の現状

皆さんは障害者雇用の現状についてどのようなイメージをお持ちでしょうか?まずは以下の「障害がある人の職種割合」グラフをご覧ください。こちらは厚生労働省がまとめたハローワークの求人と就職者情報のグラフです。
現時点では事務的職種(23.8%)や清掃・製造などの軽作業(32.3%)が多いことが見てとれます。
障害がある人の職種割合
出典:厚生労働省令和5年5月31日プレスリリース
 
ハローワークの求人のみをまとめていますので、全ての求人を網羅しているとは言えませんが、障害者雇用で多いのは事務職や清掃・製造などの軽作業です。
では、他の職種が無いかというとそんなことはありません。このデータを見るだけでも、事務職や軽作業系の他に専門やサービス、さらには管理的職業など様々な職種が障害者雇用の求人であることが分かります。
 

障害者雇用にはどんな仕事がある?

障害者雇用と聞くと多くの人がイメージするのが事務職や清掃・製造などの軽作業です。上記のグラフからも同じことが言えるでしょう。しかし一方で、以下のようなオリジナリティ溢れる職種で働いている人も多くいます。
🟩 デザイナー
🟩 YouTuber
🟩 エンジニア
🟩 保険の営業
🟩 Webライター
🟩 カフェの店長
🟩 マッチングアプリの専門家
もちろん、これらの仕事を全員が目指す必要はありません。しかしながら、障害がある人にも軽作業や事務職以外に選択肢があります。自分に合う職業が無いなぁ、、、と思ったら、人が考え付かないオリジナリティ溢れる職業を追い求めるのも1つの選択肢です。
では、実際にそれぞれの職種でどのような形で障害のある人たちが働いているのでしょうか。実例や応募が出ている求人を交えながら、どんな仕事をしているのかを紹介していきます。
 

職種例1:事務系

まずは事務系のお仕事。誰もが前述のようなクリエイティブなお仕事を求めているわけでは無いと思いますので、安定的にお仕事ができるものから紹介していきましょう。わかる範囲で収入面や会社名などもご紹介していきます。

◇ 事例紹介-事務職(1)

障害分類:発達障害
職種:事務職
勤務会社:株式会社IES
工場や事業所向けに省エネ事業や設備メンテナンスを行っている株式会社IESさん。こちらでは発達障害のあるAさんを事務職として採用し、補助金申請など重要な書類作成などをAさんに担当してもらうこともあるそうです。こちらでは以前から実習生として障害のある方の受け入れを行い、その中でも特に意欲の高かったAさんを事務職として採用しました。実習におけるエクセルの関数ツールのスキルの高さや、手先の器用さが評価され、採用へとつながったことがこの記事では記載されています。
【出典】その熱意が未来へ繋がる(働くチカラWEB 応援企業インタビュー記事)

◇ 事例紹介-事務職(2)

障害分類:発達障害
職種:事務職
勤務会社:株式会社チャーム・ケア・コーポレーション
有料老人ホームを展開するチャーム・ケア・コーポレーションさん。こちらの企業さんでは継続的に障害がある人を実習生として受け入れ、その後Bさんを事務職として採用しました。Bさんを事務職として採用した理由はエクセルスキルの高さと1つ1つの仕事をしっかり行う真面目さが評価され採用へとつながりました。実際の仕事内容として、求人サイトの編集・更新、Excelでの全社アンケートの入力やデータ加工などを行い、テプラやファイリングなどの事務補助作業も仕事として行っています。
【出典】働きやすさと安心感が戦力化の鍵(働くチカラWEB 応援企業インタビュー記事)
 

職種例2:清掃・製造などの軽作業系

次に、清掃や製造などの軽作業系のお仕事です。清掃や製造のお仕事はオフィスや工場、福利厚生施設など様々な場所で求人が募集されています。これらの仕事は比較的、対人関係が少ない分、精神的な障害がある人も働きやすいという面がありますが、その一方で年収が低くなりがちであったり、キャリアアップの機会が少ないなどの欠点もあります。

◇ 募集求人紹介-清掃職

障害分類:特に指定なし
職業:庶務、清掃職
月給:22万円前後、年収300万円前後
勤務会社:設備などをリースにて行う企業
清掃職は実際に働いている人の事例がありませんでしたので、求人募集の事例をご紹介します。こちらの求人は都内で勤務の障害者雇用の求人で、仕事内容としては清掃やテーブル拭きなどが中心のお仕事となります。特に何か特別なスキルなどが求められているわけではなく、未経験の人も大歓迎の求人になります。
 

職種例3:スキルが必要だが自分の強みなどを活かしやすい職業

◇ 事例紹介-エンジニア系

障害分類:発達障害
職業:社内エンジニア
月給:額面35万円前後
勤務会社:SES(エンジニア派遣)の運営会社
社内エンジニアとして在宅勤務で働くCさん。出社は1ヶ月に1度ほどで、自分に合う環境で働くことができています。SESとして運営会社の受託先である企業さんの案件で、プログラミングを中心に業務を行っています。具体的にはアプリ開発を行う業務だったため、PHPやPythonなどの知識を用いながらプロジェクトの進行の一部を引き受ける形で業務を進めています。企業さんの案件自体は障害者雇用ではありませんでしたが、経験があったCさんは自分が障害者ということを企業さんに伝えた上で在宅勤務ができるように企業さんと相談。最終的に障害者雇用という形を取りながら在宅勤務で仕事ができるようになりました。

◇ 事例紹介-クリエイター系

障害分類:発達障害
職業:デザイナー
勤務形態:フリーランス
デザイナーとしてリモートワークで働くDさん。元々はデザイナーとしてのスキルはあまりなかったようですが、自分がWebデザイナーになっていきたいという想いが強くありデザイナーに必要なスキルを独学で学び習得。習得したスキルを活かしながら様々な企業さんの案件を受けていくうちに、1つの企業さんから継続的に案件をもらえるようになり、デザイナーの仕事一本でやっていけるようになったようです。フリーランスのため、障害者雇用に関する縛りも全くなく、自分のやりたい時間、やりたい場所で自由に仕事ができるようになりました。
 

障害のある方が働きやすい環境とは

障害は人それぞれで特徴が大きく異なります。誰かにとっては全く苦痛に感じないものでも、誰かにとってはひどく苦痛に感じるものなど、人によってその度合いや苦手なものは大きく異なります。
比較的に働きやすい環境をあげるとすれば在宅勤務ですが、それでも周りの人に分からないところを聞きづらいなどデメリットもあります。単純に、この環境が働きやすい、働きづらいと決め付けるのではなく、その環境に飛び込んでいきながら少しずつ自分の居心地の良い環境にしていくことも大切です。
もちろん、最初から全く自分が適応できない環境に飛び込む必要はありませんが、自分からも適応していこうと工夫していくことが大切です。
 

障害者雇用での新卒入社を目指す人は家でも就活オンラインを活用しよう

◇ 家でも就活オンラインとは?

「家でも就活オンライン」は、全国の障害学生1000名以上が活用する障害学生のための就活・就職・求人サイトです。障害者雇用に関する就活のイベントや、お役立ち情報の発信、個別相談や求人紹介などを行っています。学生の皆様は無料でお使いいただけます。
<こんな学生におすすめ>
・障害学生の就活の情報が少なく困っている
・一人で頑張っているけど、自分のやり方でいいのか不安
・就活に向けて何から始めたらいいかわからない
・自分に合った企業や仕事がわからない

◇ 家でも就活オンラインでできること

◼ 内定者、先輩社員、人事担当に会える/障害者雇用を知る『就活イベント』

オンライン就活イベントを開催。障害者雇用では必ず知っておきたい情報の提供イベントや疑似インターン企画、内定者、先輩社員、企業の人事担当との交流イベントなど、障害学生の皆様の就活に役立つ様々な機会をご提供します。

◼ 障害者雇用を知る『就活お役立ち情報』

障害者雇用の生の情報や、先輩の就活体験談を動画化。手軽に、必要な情報が手に入ります。
また、障害者雇用の仕事を体感したい方向けに、オンラインで障害者雇用の仕事を疑似体験できるコンテンツもご用意しています。障害者雇用を知って、就活を有利に進めましょう。

◼ 求人に応募する『個別相談&求人紹介』

新卒障害学生を積極的に採用している企業のオンライン説明会を開催し、求人紹介を行っています。
説明会では、企業がどのような思いやビジョンで障害者雇用に取り組んでいるかをじっくり知ることができます。また求人紹介では、あなたに合った企業を一緒に考えます。
 
 
🖊 この記事を書いた人・監修
記事を書いた人
銀河
上智大学卒。ASD(自閉症スペクトラム障害)とADHD(注意欠陥多動性障害)の当事者。ASD優位で空気を読むことが大の苦手。新卒で営業としてキャリアをスタートするも、約1年でうつ病を発症。復職し、発達障害であることの強みを活かして営業成績2位をおさめる。入社満3年を迎えるとともに退社し、会社の同期が設立したCare Earth(株)に誘われ参画。現在はCare Earthの仕事と同時並行しライターやプログラミング、コミュニティ運営を行う。
 
<著書>