障害学生が知っておきたいもうひとつの選択肢「就労移行支援」

 

この記事では、障害のある学生の方向けに「就労移行支援」の対象や利用条件をわかりやすく解説します。
最初の就職でつまずくよりも、自分のペースで準備を整えたい。
そう感じる学生さんにとって、就労移行支援は安心して次のステップを考えられる仕組みです。

すぐに利用を考えていない方も、就活で迷ったとき、進路に悩んだときの選択肢のひとつとして、ぜひ知っておいてください。

就労移行支援事業とは?

就労移行支援事業とは、障害のある方が「働くために必要な知識やスキル」を身につけることを目的とした障害福祉サービスです。職業訓練や就職活動のサポート、入社後の定着支援などを通じて、就職準備から職場への定着までを一貫して支援します。この制度は、障害者総合支援法に基づいて実施されています。

【目的】 企業への就労
【対象】 障害のある人(医師の診断があれば、障害者手帳の有無は問わず)
企業等への就職を目指す18歳以上65歳未満の障害や難病のある方
【利用年限】 2年間(要件を満たせば+1年延長可能)
【費用】 原則1割負担(ただし、住民税非課税の場合は自己負担なしで利用可)
【プログラム例】 ・ビジネスマナーやコミュニケーションスキルの学習
・職業スキルアップ(パソコン、軽作業、飲食、デザイン、プログラミングなど)
・職場実習
・求職活動、面談
・就職後の定着サポート(職場訪問、面談など)

障害学生が利用するための2つの条件

就労移行支援事業は、企業等への就職を目指す18歳以上65歳未満の障害や難病のある方がご利用いただけます。
下記に当てはまる場合には、特におすすめです。

  • 自分の得意・苦手がわからない、自分の適性を見極めたい
  • 就職活動や働くために必要なコミュニケーションの練習がしたい
  • 企業見学や職場実習を通して、自分に合った会社や仕事をじっくり探して就職したい
  • 就職に向けてはもちろん、就職後も長く働き続けられるよう、丁寧にサポートして欲しい

障害学生の場合は、①卒業年次の学生で、②単位を取得できる見込みが十分に立っているという2つの条件をクリアしていれば就労移行支援事業所を利用できます。(※)

最終的な利用の可否は、自治体の判断になります。就活に不安がある方は、事前に問い合わせておくと良いでしょう。

  1. 大学や地域における就労支援機関等による就職支援の実施が見込めない場合、又は困難である場合
  2. 大学卒業年度であって、卒業に必要な単位取得が見込まれており、就労移行支援の利用に支障がない者
  3. 本人が就労移行支援の利用を希望し、就労移行支援の利用により効果的かつ確実に就職につなげることが可能であると市町村が判断した場合

引用元:厚生労働省「平成 29 年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A(平成 29 年3月 30 日)」等 の送付について

※ 自治体の判断により対象外となる場合があります。卒業年次に限らず、ご利用いただけるケースもあります。

以下のページでは、在学中から就労移行支援を利用された方の事例を複数紹介しています。

就労移行支援事業所はどんなところ?

就労移行支援事業所は、全国に3,300箇所以上あります(令和5年度 社会福祉施設等調査)。
訓練内容や支援方針、運営団体も多種多様であるため、見学や体験を通して自分に合った事業所を見つけることが大切です。

例えば、「家でも就活オンライン」を運営するエンカレッジでは発達障害に特化した就労移行支援を行っています
自身の特性を理解し、障害に応じたトレーニングを受けることで、より自分に合った就職を目指すことができます。

事業所イメージ
事業所のイメージ

どれくらいの期間利用できる?

就労移行支援事業は原則、最長24ヶ月間(2年間)利用できます。就職が決まれば利用終了となります。

就職から6カ月経過した後は、「就労定着支援事業」が利用できるようになります。勤務先の環境や業務内容に順応して、長く働き続けることを支援する障がい福祉サービスです。

「家でも就活オンライン」を運営するエンカレッジの就労移行支援所は、就職が決まってから就労定着支援事業が始まるまでの期間も継続して職場定着のサポートをしています。(例:面談や職場訪問、OB会など)

参考として、エンカレッジの就労移行支援事業所における、利用開始から6か月経過後以降のおおまかなスケジュールを以下に示します。

利用開始~3ヶ月

【導入期】

  • エンカレッジに慣れる
  • 報連相やコミュニケーション
  • 基本的な労働習慣の確立
  • 自己理解
  • 他者理解

3ヶ月~6ヶ月

【職業準備期】

  • エンカレッジでの役割遂行
  • 後輩への助言・サポート
  • 職業スキルの向上
  • 自己理解
  • 職業理解
  • 面接準備
  • 職場実習

6ヶ月~

【就職期】

  • 自分に合った働き方
  • 障害特性と配慮
  • 面接対策
  • 職場実習

※就職が決まれば就労移行支援事業は利用終了となりますが、エンカレッジでは面談や職場訪問、OB会など実施しており、就労定着支援事業が始まるまでの間も継続して職場定着のサポートをしています。

9割の利用者は自己負担が0円!

障害福祉サービスの自己負担は、所得に応じて以下の4区分の上限月額が設定されています。ひと月に利用したサービス量にかかわらず、それ以上の負担は生じません。

区分世帯の収入状況負担上限月額
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯(*注1)0円
一般1市町村民税課税世帯(所得割16万円(
*注2)未満)
※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム、ケアホーム利用者を除きます(*注3)
9,300円
一般2上記以外37,200円

(*注1)3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象となります。
(*注2)収入が概ね600万円以下の世帯が対象になります。
(*注3)入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム、ケアホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」となります。

引用元:厚生労働省HP「障害者福祉サービス/障害者の利用負担」より

学生の方の中には、「親の扶養に入っているから、有料になってしまうのでは?」
と不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ここでいう「世帯」は次のように定義されています。
未婚であれば、基本的に親の扶養とは関係ありません。

実際に、就労移行支援事業所エンカレッジの利用者のうち9割以上の方が、自己負担額0円で利用しています。

種別世帯の範囲
18歳以上の障害者
(施設に入所する18、19歳を除く)
障害のある方とその配偶者
障害児
(施設に入所する18,19歳を含む)
保護者の属する住民基本台帳での世帯

エンカレッジの就労移行支援について

就労移行支援事業所エンカレッジは、大学や専門学校の在学中〜卒業後の方の支援実績が豊富です。第二新卒の就活支援も多く行ってきました。

「対人コミュニケーションが苦手」
「自分の得意や苦手が分からない」
「新卒や職業経験が浅くて就職できるか心配」

といった不安があっても、スタッフが一人ひとりに寄り添いながら、就職・定着に向けたサポートを実施。業界トップクラスの就職率と定着率を実現しています。

エンカレッジは10年以上、就労支援を実践してきました。障害者雇用の定着率を高めるため、また企業側にも障害者雇用のノウハウを蓄積してもらうために、企業との連携にも力を入れています。

卒業後も継続して利用を続け、第二新卒として就職活動を行った方が、新卒と同等水準の企業へ就職された事例も多く見てきました。早く働くよりも、長く働ける社会に。そういう想いで、支援を続けています。

少しでも気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。