― 配慮申請の方法・タイミング・文例を受検形式別に解説 ―

この記事のポイント
1. 「配慮申請していい」と知ることが最初の一歩
- SPIや適性検査の受検で困ること自体を「仕方ない」と諦めている学生が多い。しかし障害者差別解消法・障害者雇用促進法の合理的配慮の観点から、企業に配慮を申請することができる。
2. 受検形式によって配慮できることがまったく違う
- テストセンター・Webテスト・ペーパーテストで、配慮の可能性と交渉先が異なる。「テストセンターは時間延長が難しい」という現実も含め、形式別に整理する。
3. 断られることもある ― それでも「別の方法」を提案し直す
- 家就の面談記録には、大手企業・公的機関も含めて「断られた」事例がある一方、「方法を変えて再提案したことで解決策が見つかった」事例も多数ある。諦めず、別の角度から交渉することが重要。
本記事では、障害学生の面談記録をもとに、SPIや適性検査における配慮申請の実際を解説します。申請のタイミング・伝え方・メール文例も掲載しています。
この記事でわかること
- なぜSPIで障害学生が困るのか(特性別の理由)
- テストセンター・Webテスト・ペーパーテストで配慮の可能性がどう違うか
- 実際に企業が対応した配慮の種類と事例
- 断られたときの対処法
- 申請のタイミングと伝え方・メール文例
そもそも「配慮申請」とはどういうこと?
適性検査における配慮申請とは、障害特性によって本来の能力が正確に測定されない状況に対して、企業に対等な受検環境を整えるよう求めることです。
法的な根拠は2つあります。
- 障害者差別解消法(2016年施行):企業は合理的な範囲で、障害のある人への対応を求められています
- 障害者雇用促進法:障害者雇用において、障害の特性に応じた配慮を行うことが求められています
「配慮をお願いする=わがまま」ではありません。これは権利です。
ただし、「すべての申請が必ず認められる」わけではありません。企業の規模・体制・検査の形式によって、できることとできないことが大きく異なります。そのリアルも含めて、正直にお伝えします。
なぜSPIで配慮が必要なのか ― 障害特性との関係
SPIが障害学生にとって難しい理由は、問題の内容よりも「問題を解くスピード」にあることが多いです。
テストセンターでは、問題ごとに時間制限が設けられており、時間切れになると自動的に次の問題に進みます。「わからなかった」のではなく「読み終える前に終了した」という状況が起きやすいのです。
発達障害(ASD・ADHD・LD等)
- 処理速度に困難があり、時間内に解き終わることが難しい
- 1問に集中しすぎて次の問題に進めない
- 画面に常に表示される「残り時間」が視界に入り、必要以上に焦ってしまう
- 数的処理・空間認識など、特定領域だけが極端に苦手(凸凹)
視覚障害・弱視
- 画面の文字・図が見えにくく、読む速度が落ちる
- テストセンターの環境では拡大・読み上げソフトが使えないことがある
- マークシートの記入が身体的に困難なケースも
精神障害・体調の波がある方
- 検査日の体調次第で、集中力や処理速度が大きく変動する
- テストセンターへの移動自体が体力的な負担になる
「配慮できること」は受検形式によって全然違う
ここが最も重要なポイントです。「テストセンター」「Webテスト(自宅受検)」「ペーパーテスト」では、配慮の可能性がまったく異なります。

① テストセンター(会場でのPC受検)
リクルートマネジメントソリューションズ株式会社が運営する会場で受検する形式です。
テストセンターのシステムは受検者の回答状況に応じて問題を自動調整する仕組みになっており、時間延長はシステム上対応できないケースが多いのが現実です。視覚障害のある学生が時間延長を申し入れたところ、企業がリクルートに確認したものの「延長対応はできない」と言われた事例も家就の面談記録に残っています。
まずは企業の採用担当者に相談しつつ、必要に応じて以下のリクルートの公式窓口にも直接問い合わせることができます。
📞 リクルートのテストセンター公式窓口(家就とは別の機関です)
テストセンターはリクルートマネジメントソリューションズ株式会社が運営しています。配慮の可否についてはこちらに直接確認することもできます。
テストセンターヘルプデスク TEL:0570-081818(9:00〜18:00、土日祝含む)
※ 家でも就活オンラインとは別の機関です。配慮の可否はリクルートおよび企業それぞれが判断します。
② Webテスト(自宅受検)
企業が指定するURLから、自宅のPCで受検する形式です。
自宅環境であるため、自分のスクリーンリーダーや拡大ソフトを使いながら受検できる可能性があります。また、受検期間・日程の変更は企業に直接相談できます。
③ ペーパーテスト(企業会場・筆記形式)
3形式のなかで最も配慮の幅が広いのがこの形式です。
問題冊子を手元に置いて解くため、時間延長・拡大印刷・マークシートの形式変更・電卓使用など、企業の判断で柔軟な対応ができます。
受検形式別 配慮のしやすさまとめ
テストセンター
時間延長はシステム上難しいケースが多い。形式変更・別方法を交渉する。
相談先:企業の採用担当 + リクルートMSヘルプデスク(0570-081818)
Webテスト(自宅)
自宅環境のため比較的柔軟。スクリーンリーダーや拡大ソフトが使いやすい。
相談先:企業の採用担当
ペーパーテスト
最も幅広い配慮が可能。時間延長・拡大印刷・回答方式変更など。
相談先:企業の採用担当
SPI・適性検査で実際に得られた配慮の事例
「配慮申請」と一口に言っても、その内容は多岐にわたります。家就の面談記録をもとに、実際に行われた配慮の種類を整理します。
① 受検形式ごと変える
テストセンター形式から、企業会場でのペーパーテストや自宅Webテストへの変更を認めてもらったケースがあります。形式が変わることで、拡大印刷・音声読み上げソフトの使用・時間配分の調整なども一緒に実現しやすくなります。
📋 事例
視覚障害のある学生が配慮を申請したところ、企業が「本社での受検に変更」「時間延長を許可」「問題用紙を拡大印刷」「マークシートの代わりに数字記入方式に変更」と、複数の配慮をセットで対応してくれた。
→ テストセンターではなく企業会場でのペーパー形式に変更したからこそ実現した配慮です。
視覚障害のある学生が配慮を申請したところ、企業が「本社での受検に変更」「時間延長を許可」「問題用紙を拡大印刷」「マークシートの代わりに数字記入方式に変更」と、複数の配慮をセットで対応してくれた。
→ テストセンターではなく企業会場でのペーパー形式に変更したからこそ実現した配慮です。
② 音声読み上げソフト(スクリーンリーダー)の使用許可
視覚障害のある学生が申請した際、通常のWebテストではPCトーカー等の読み上げソフトが非対応なことが多いですが、企業によっては「2次選考以降で対応する」という形で代替対応を提示してくれたケースがあります。
📋 事例
ある企業では、プレエントリーの段階でマイページに配慮記入欄を設けており、SPIの配慮事項を事前に記入できる仕組みがあった。音声読み上げソフトへの対応について相談したところ、2次選考での対応を約束してくれた。
→ プレエントリー段階から配慮欄を設けている企業は、対応に積極的であることが多いです。
ある企業では、プレエントリーの段階でマイページに配慮記入欄を設けており、SPIの配慮事項を事前に記入できる仕組みがあった。音声読み上げソフトへの対応について相談したところ、2次選考での対応を約束してくれた。
→ プレエントリー段階から配慮欄を設けている企業は、対応に積極的であることが多いです。
③ Webテストの形式変更(WordファイルやPDFでの送付)
通常はWebで回答するテストを、Wordファイルを送付してもらい、記入して返信する形式に変更してもらったケースがあります。自宅でスクリーンリーダーや拡大表示を自由に使えるため、視覚障害のある学生にとって有効な方法です。
④ 点数配慮(スコアのしきい値を下げる)
「受検はするが、スコアによる足切りを行わない」という対応です。SPI自体を免除するのではなく、「受けるが厳密には評価しない」という中間の対応として選ばれやすい方法です。
📋 事例
視覚障害のある学生が問い合わせた企業から「点数配慮を考えます」との回答。また、別の企業では、先輩学生からの情報として「時間延長は難しいが、点数配慮または小論文への変更が選択肢として提示された」という事例が確認されています。
視覚障害のある学生が問い合わせた企業から「点数配慮を考えます」との回答。また、別の企業では、先輩学生からの情報として「時間延長は難しいが、点数配慮または小論文への変更が選択肢として提示された」という事例が確認されています。
⑤ SPI免除・別の選考方法への変更
「SPIの代わりに小論文を提出する」「面接で判断する」など、適性検査そのものを別の選考方法に置き換えてもらったケースがあります。
📋 事例
「数学が学習障害でできないのですが」とメールで問い合わせた学生に対し、企業から「SPI以外のお人柄で見ますよ」との回答。また、外資系製薬会社ではSPI受検が免除された事例も。自宅PC受検に変更の上「ESを重視するのでSPIは参考程度で見ます」と対応してくれた企業も複数ある。
「数学が学習障害でできないのですが」とメールで問い合わせた学生に対し、企業から「SPI以外のお人柄で見ますよ」との回答。また、外資系製薬会社ではSPI受検が免除された事例も。自宅PC受検に変更の上「ESを重視するのでSPIは参考程度で見ます」と対応してくれた企業も複数ある。
SPI配慮を断られたケースと、その対処法
配慮を申請しても断られるケースは、残念ながら多くあります。いくつかの例をご紹介します。
- 拡大鏡・読み上げの使用不可:「拡大しないようにお願いします」と言われてしまい、音声読み上げソフトも使用できなかった。結果として1/4も解き終われないまま終了。
- 地方自治体のケース:学生が配慮を伝えると電話があったが、「ペーパーテストは時間延長できません」と断言された。「公的機関こそ配慮をしっかりしているはずなのに」という学生の声も。
- 受検期限直前の相談:受検期限1週間前に配慮を問い合わせたところ、「まだ確認中」のまま期限切れになってしまった。企業の確認に時間がかかることを見越して、早めに動くことが重要です。
断られたときに試してほしいこと
「時間延長は難しい」と言われても、「では形式の変更は可能でしょうか」と方法を変えて再提案してみてください。要望の伝え方を変えることで解決策が見つかることがあります。また、SPIを課さない・スコアをあまり重視しない企業への応募を並行して検討することも一つの手です。
SPIの配慮を申請する方法・タイミング・文例
いつ申請するか
プレエントリー直後、または書類選考通過メールを受け取ったらすぐが基本です。
受検期限の1週間を切ってからでは、企業側が社内確認・検査会社への問い合わせなどを行う時間が確保できないことがあります。実際に「確認中」のまま期限を迎えてしまった事例もありました。
企業によってはプレエントリー段階のマイページに配慮記入欄を設けているケースも。そうした欄があれば積極的に活用しましょう。
どうやって申請するか
メール・電話どちらでも構いません。どちらが良いかは企業の対応スタイルや状況によってケースバイケースです。
- 電話の場合:すぐに担当者と直接やりとりでき、その場で方針が決まりやすい。ただし内容が複雑な場合は電話の後にメールで詳細を送ると安心。
- メールの場合:複数の配慮内容を整理して伝えたい場合や、書面に記録を残したい場合に向いている。
何を伝えるか
- 自分の障害・特性(簡潔に)
- 具体的にどんな困難があるか(「処理速度が遅い」「読み取りに時間がかかる」など)
- 希望する配慮の内容(複数挙げてもOK)
- 「対応が難しい場合は教えてください」と添える(門を閉じない伝え方)
メール文例(参考)
以下はメールで申請する場合の参考例です。自分の状況に合わせて書き換えてください。
件名:適性検査の受検に関するご相談【〇〇大学 氏名】
採用ご担当者様
〇〇大学○○学部の○○と申します。
このたびは選考の機会をいただきありがとうございます。
このたびは選考の機会をいただきありがとうございます。
1点ご相談があります。
私は○○(障害名・特性名)の特性により、時間制限のある課題では処理速度に困難が生じるため、通常の条件では本来の能力をお伝えすることが難しい状況です。
私は○○(障害名・特性名)の特性により、時間制限のある課題では処理速度に困難が生じるため、通常の条件では本来の能力をお伝えすることが難しい状況です。
以下のいずれかのご配慮をご検討いただけますでしょうか。
- 受検時間の延長(1.5倍〜2倍程度)
- ペーパー形式や自宅受検への変更
- SPIの結果よりもES・面接を重視した評価
ご対応が難しい場合は、その旨をお教えいただければ幸いです。
よろしくお願い申し上げます。
よろしくお願い申し上げます。
○○大学○○学部 氏名
TEL:xxx-xxxx-xxxx
TEL:xxx-xxxx-xxxx
※上記は発達障害(処理速度の困難)の場合の例です。視覚障害の場合は「拡大印刷・読み上げソフト使用・マークシート代替」、精神障害・体調の波がある場合は「受検期間の延長・体調が安定した日程での受検」などに書き換えてください。
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監修者プロフィール
遠藤 侑(えんどう・ゆう)
株式会社エンカレッジ キャリア雇用デザイン事業部 リーダー/訪問型ジョブコーチ











